平成12年11月20日
短刀銘  備前国長船勝光 享禄年期 七寸の寸詰まり皆焼風短刀姿で一見相州伝のような出来。しかしながら寸詰まり短刀の七割は備前物なので照査してみると棟焼きの幅が広いだけで飛び焼きも無く、腰の開いた互の目乱なので備前。沸が強めなので勝光と見る。地鉄細かく練れ美しい。
短刀銘  藤原三河守大道陳直 天正年期 表裏箱刃揃い地鉄柾が目立ち、千子一派のような出来。しかしながら千子のように肌粕立たず、焼き刃の沸も少ない。表裏揃うと言えば千子村正にいきたくなるが、本来関伝の特徴と見る。地鉄柾流れ美しく匂い口締まり明るいのぶなお優作。
短刀銘 重要刀剣 濃州住兼吉 応永年期 一見鎌倉山城伝に見えるが刃中働きは無いが締まって明るく冴える。地鉄柾目主調の板目肌よくつんで非常に美しい。応永兼吉は四振り程拝見しましたが全て出来がよく美しいです。
脇差銘  水心子正秀 天明年期 水心子初期の大坂写し。研磨途中の段階で化粧を施していないが、地艶、刃艶をいれれば美しい涛乱刃になりそうな綺麗な沸がつく。
太刀銘  了戒 地鉄柾流れ、白気映り立ち、小丁子乱がうるんで沈む。来国俊から冴えを取り去ってしまったような出来であるが、姿よく歴史を感じる良刀。
平成13年3月9日
刀銘 伊豫掾源正次 裏金象嵌銘 寛文八年申一二月九日 貳ツ胴切落 人見伝兵衛重次 花押
長さニ尺三寸三分 生ぶ中心 元幅と先幅の差少なく反り浅めの豪壮な慶長新刀姿。
肥前刀の中であって相州風を加える宗次一派の典型かつ代表作。地鉄完全な小杢にならず小板目肌美しく練れ地沸が覆い透明感があって冴える。焼刃互の目乱、匂い深く交錯し村雲のような素晴らしい変化を見せる。
二代宗次初期作で寛永頃の作とおもわれる傑作で諸書の書籍に紹介され先日の「和泉国をかこむ名刀甲冑展」にても展示された。肥前の異端児一派二代宗次入魂の一振り!                
平成13年3月10日
太刀銘 真守造 □□二年三月五日 重要刀剣 ニ尺三寸二分の定寸ながら踏ん張りつき元幅先幅の差が頃合で京反り深く実寸より長く見え美しい太刀姿。地鉄小杢よく詰み細かな地景がからみ肌立ち潤いがあり見事な肌。映りこころあり。刃紋匂い出来小乱れで足よくはいり金筋からむ。畠田一派の一作風を示した雅味あふれる名刀。
太刀銘 北越高田官鍛玉心斎正蔭作 裏銘 森尚行君之嘱明治二年巳巳二月日 ニ尺二寸六厘 地鉄非常に良く詰み細かな地沸のついた俗に言う綺麗な肌。刃紋匂い出来丁子乱で足がよくはいり刃先に抜けそうなほど長い。鈴木正雄、水心子に習い無銘工ながら現存作はすべて素晴らしい出来。
脇差銘 肥前国住源忠吉作 裏銘 慶長十年八月吉日 一尺五寸八分 肥前刀には見えず肥前刀の過渡期を示した作風。地鉄小杢に大肌が交じった部分があり鎬地柾に流れる。刃紋互の目乱。住人銘時代にはよく見かける源銘だが秀岸銘では現存唯一の作。秀岸銘から徐々に住人銘に銘振りも移行していっていることが見え、資料的価値のある脇差。
脇差銘 筑後守藤原包則 一尺九分 一見慶長新刀に見える姿。地鉄小板目詰んで地沸つき肌だった強く綺麗な肌。刃紋沸匂い深い大互の目乱に太めの足がはいる。龍と素剣の彫りがあり記内彫りと思われる。平均点の高い隠れた下坂の名工。
短刀銘 濃州関住兼良 裏銘 天正三年八月日 八寸九分 地鉄小杢詰んで刃寄り柾がかり細かな地沸のついた青い肌で白ける。刃紋直刃ではあるが常の様に締まらずほつれや二重刃がしきりにかかる、大和気質の強い出来。まだ大きく論文として掲載されていないが最近の文献の研究により、大量消費期のニ大地長船は今で言う店舗販売ででんとかまえ、関物は行商形態で刀を販売していたようである。裏年期の入った関物には注文品が多くそれゆえ出来が良い物が多い。関鍛冶には哀愁が漂っていますね!




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