極私的抄               有事断然一息截断

99年11月14日 京都国立博物館に行ってきました。金工16室で備前刀が展示されていました。正恒、利恒、成高、○忠、助久、近房、是介、尚宗、雲生、長光、長親、則光、盛光。このうち約半数が重文ですが、中でも長光の太刀が最も印象に残りました。見事な刃文、鎬筋に懸かる乱れ映り。この刀を見て、やはり現代において再現は至難と思ってしまう。源氏重代の薄緑の刀もいいが伝来(満仲佩刀)と時代は一致しない。後足利家伝来。織田信長遺品の則光は出来で言えば展示品の中ではやや劣るが貰えるならばこれがいい。笑。あと銘鑑もれの是介は現存唯一の物。(時代鎌倉)


99年11月11日 今回初めて清麿の刀を手にとって拝見しましたが、やはり天才ですね。皆さんが熱くなられるのが分かりました。完成期の刀を
見ればもっと凄いんでしょう。銘を眺めながらその後の清麿の波瀾の人生を思うと感慨深いものがありました。某
刀剣店で法城寺但馬守国正刀
を見る。地鉄の出来が抜群で特保認定で235万円也。かなり良いと思いました。

そう言えば桜田門外の変で奮闘した、彦根藩士永田太郎兵衛のその時の刀が御子孫の永田昇さんによって彦根城博物館に寄贈
されました。数カ所に斬りこみ傷があり戦闘の生々しさがありますね。銘は意外に二代助広。水戸浪士の柾鍛えにやられたんでしょうか。


99年10月24日に中部大刀剣祭りに行ったんですが密かにねらっていた疋定その日に売れてしまったと言うことでした。一歩遅れで、、、通信販売もできたんですが実見して買うのが基本だったんで。カタログには疋定になっていましたが、あれは間違い無く之定初期銘。店員さんに聞いてみたところやはりそうでした。掘り出し物の無い刀剣市場で本当の掘り出し物だったのに。うー、縁が無かったんでしょう。まぁ実見していないしどれほどの出来かは見ていないんで言いきれないんですが特保認定の美濃物は結構出来が良いのが多いんですよね。まあ僕の本当の狙いはより田舎くさい孫六兼元なんで先に売れていて良かったのかなあと今は思っています。(いいきかせています。)その兼元なんですが去年東京で売っていたんです。値段は大台に乗っていました。知っている方もいらっしゃいますよね、中川左平太の大坂夏の陣の差し料。ちょっとぐらぐらときたんですが出来が兼元というより之定だったんですよね。それと徳川方と言うのも気に食わんかったんで。(笑) 本当に欲しい刀に出会うのは難しいです。その後ある方に以前紹介して頂いた御仁の家に伺ったところ兼房丁子も鮮やかな傑作短刀(特保)がびびってしまうぐらい安い値札がついていました。あと福岡一文字(重刀)などその他いずれも法外とも言える値段でした。以前の僕なら速攻買っていたでしょう。でも僕の性格上いくら沢山所持しても結局お気に入りの大小ばかりに気が入ってあとはただのコレクションになるだけなんですよね。一点集中型というか、、、皆さんの中にもいますよねそういう人は。ところでこの御仁にその値段の訳を尋ねたところ寿命!!もそろそろだし本当に刀を大事にしてくれる人と出会った時の値段なんだそうで、看板らしきものは鍔の木彫りだけではあまり気づく人も少なく、いままでほんの数人が訪ねてきたとのこと。業者らしき人には見せることすらしないそうです。面白い人もいるんですね。兼元があったらなぁ。この文章を載せるのも懸命に説得して許可を得たんです。このホームページで宣伝したらいいのに、、、と言うわけで所在地等はお教えできないので悪しからず。このサイトをいつも見てくれているアナタ、そうアナタ!は知っていますよね。約束は守りましょう!!



刀剣鑑賞ノートでも書いているここの県内では随一の
名刀収集家の方の家にお邪魔したんですが、特重、重刀、その他本当に素晴らしい刀を沢山所持しているにもかかわらず美濃千住院のごく普通の刀がお気に入りで非常に大切にしていらしたのが印象的でした。早く僕もこの極致に達したいもんです。いくら美濃物が好きでも例えば古備前の名刀とどっちか差し上げると言われれば値段の張るほうをとってしまうでしょう。本当に素晴らしい人がいるもんです。このページの壁紙の兼元もその方の物です。孫六の大小売って欲しいなぁ。


話が前後しますが、中部大刀剣祭りで印象に残った刀を列挙しますと、まず第一等が無銘手掻包永でしたね。あの板目が流れる肌目がなんとも言えない程美しいです。僕は刀剣に一番魅力を感じるのがこの肌が綺麗に流れる様子なんです。だから大和伝や善定、孫六等の美濃伝にしびれてしまいます。善定の特徴に一部必ず板目流れるっていうのがあるんですが、それなんか大和手掻の伝統が残ってるって感じで日本人の伝統を重んじる文化がひしひし感じますね。あの兼元の平地が詰んで刃縁あたりが綺麗に流れる、、、もうたまらんっーって感じ!関市蔵の善定派最後の眞勢子兼吉の刀もキリリッと締まったお家芸の直刃に刃縁流れる地鉄が本当に美しいです。最近関市は非常に刀剣関係活発ですね。直刃の傑作兼元を購入したり。関市長の後藤さんは素晴らしい方です。刀剣展年々拡大してきてますね。今年も大盛況でしたね。ついつい話が脱線してしまいましたが、刀剣祭りに戻って。虎徹の脇差も地鉄が秀逸でした。でも虎徹って勿体無いですね、あの突っ立った寛文体配。しかたないですよねあの時代は。でも後述する高津古文化会館の重文ハネ虎は格好も良いですね。
ところで、とある刀剣店で見た備前則光に少し考えさせられました。差し表は完全無比の寛正則光。本当に出来はいいんです。ですが差し裏の鎬地に大きな疵があるんです。鍛え割れじゃなく純然たる疵です。しかし破格な値段を考えると可也お得と思います。潔癖な方は無理ですけどね。まぁ良いところを見てあげればいいんじゃないんですか。他に文殊の刀も出来が良くて手頃な値でした。まだたまにありますね田舎の刀剣店にはこういう刀が。売るときに徹底的に取り扱いや刀剣の大切さ保存方法を教えていけば値段が安くなることは刀剣趣味の底辺を広げる意味で良いことだと思いますよ。安いと言っても決して小さな額ではないですけどね。


高津古文化会館の秋季特別展刀剣の魅力〜古刀から新々刀まで〜に行ってきました。拝観料500円で全展示刀の押型解説付きの立派なパンフレットが貰えて可也太っ腹です。1000円ぐらいとってもいいのにね。財団法人のなせる技かな?エレベーターを降りるとまずいかめしい甲冑が睨みをきかせています。島津斉彬所用の甲冑をはじめ孝明帝の拵等が迎えてくれます。今年は孝明天皇の遺品に縁があります。刀剣類も素晴らしいものばかりでその中でも伊達政宗家臣支倉六右ェ門常長の遺愛刀無銘伝志津の豪刀は本当に素晴らしくニ尺六寸四分の長寸乍一分の破綻も無い地鉄はまさに完璧です。重文指定の虎徹もいい刀でした。本当に良い刀は集まるところに集まりますね。良いことです。


そう言えば某刀剣店(公表可)に徳川家伝来無銘正宗刀(平井千葉研ぎ)と長大過ぎる虎徹刀(山野試切銘)が購入可能なんですけどやはり高価過ぎるのか長いこと置いてありますね。なんでも芦屋の某家から阪神大震災の時泣く泣く手放したと言うことです。(確認情報)
99年10月31日に重美の小野繁慶の刀を拝見する予定です。でもどうして不鍛着が繁慶の場合個性なんですかね。不・思・議。


2000年1月10日 久しぶりに展示即売会にいって来ました。みんなよい値段してますね。特に印象に残ったのは、筑州左の短刀。地鉄に疵があるけど出来はすごく良かったです。中山義一刀も肌物の傑出した出来で、如輪杢に八雲混じりに破綻の無い良いものでした。この横浜の刀剣店は値段設定がかなり良心的に感じました。
会津兼定の在銘脇差なんて出来抜群で小糠肌惚れ惚れするような出来(勿論正真)なのに18万円!一桁間違いました。
業者市でも出ないですよ、この値段。あと清閑兼元で差し裏はいうこと無しの出来(関市蔵の重刀孫六の如く)で長寸ほぼ生ぶのが50万しなかったです。(弱冠疲れ気味) 長運斎綱俊刀も出来良く手頃な値段でした。60万ちょいでした。
最近感じる事は刀剣店によって値段の格差がかなり大きくなってきてる感じがしますね。


00年1月15日 大阪市立博物館へ早速行ってきました。赤羽刀展。場所は大阪城天守閣の隣り、日刀保の定例会が開催される所です。展示数、二四振りでやはり大坂新刀が多数を占めていました。(錆身除く)
出羽大掾国路や忠綱などが錆び身の上、中心が朽ちこんでいて凄く残念でした。漆を刀身に塗ってあるものも蜘蛛の巣状の錆びが発生し始めていました。以下展示目録を挙げてみます。
1・鋒両刃造太刀(正倉院模) 2・古備前国宗 3・之定 4・肥後守輝広 5・助直 以上参考出品

6・明応祐定 7・盛光太刀 8・備前義光太刀 9・吉井清則 10・出羽大掾国路脇差 11・越後守国寿
12・平安城国次脇差 13・同脇差 14・越中守正俊薙刀 15・初代康継 16・大和守安定 
17.国貞 18.国貞脇差
19・小林伊勢守国輝脇差 20・忠綱脇差 21・月山貞吉脇差 22・月山貞一 23・備前介宗次 24・伯耆正幸
上位五振りは、助直 祐定 安定 之定 康継で、次点が貞吉綾杉鍛でした。刀剣の他本阿彌光遜図版、甲冑、常設展もあり入場料は300円と非常にお得です。
来週は東京の方へも行ってきます。

さてこの刀は誰の作刀でしょう?
本阿彌光遜 図譜
このように保存されていました
錆び身 (すべて大坂新刀)
接収された日本刀(チェコスロバキア於)
莫大な本数
赤羽刀調査風景(うらやましい)
私の蔵刀の作風を墨書して下さった方の
自慢の一刀

平成12年2月5、6日

東京に行っていました。目的は福永師に刀剣と刀剣資料をお渡しする為と鑑定です。 後は、博物館巡りと靖国参拝でした。福永先生宅、泊、刀装具美術館、靖国神社就遊館、刀剣店、刀剣博物館、剣兄諸氏、福永先生宅と都内一周、レンタカーで200キロ以上もウロウロしていました。なお福永先生宅に古文書解読依頼に徳川美術館の学芸員の方が来られました。忠輝書状を先生に解読して頂いた所、忠輝書状じたいの希少性と内容の貴重性に複写を何枚も撮りました。上越市立総合博物館の蔵品であった事も正式に判りました。忠広刀は出来大変よく一生所持していても自慢できる刀との事でした。

福永酔剣先生鑑定

鑑定1.新刀無銘(角田佩刀 付佩刀記額装) 先ず額装を見て五秒でこの額装が野田菅麿筆でないことを看破!ショックを受けて何処がですか?と質問をすると証拠を探し出される。すると誤字一箇所と現代語と上時代との読みの違いから生じる誤字(おくりがな)を新たに発見。鞘書きもか?と思いドキドキ差し出すと鞘書きは正真で見事な筆跡との事で一安心。指摘箇所を照査すると正にご指摘どうり!刀剣研究だけではなく歴史学、書道の大家でもある先生こその一発看破でした。(先生は元熊本大学助教授医学博士でもあり刀剣関連以外での著作も有名です) 鞘書きが薄れ後日判読不明になる事をおそれ、近年書き写し、額装に仕立てた様です。肝心の刀身ですが、崇高なる下作とおもっていたが複雑な丁子乱を破綻無く焼き無傷無欠点、しかも厭味が無い点、樋がムラ無く名人の如く彫ってある点、焼きだし、僅かに覗く地鉄の細かい冴えから大阪新刀優作と鑑定されました。個銘極めは研がないとできないそうです。身幅があり見ていて気持ちが良い等かなり気に入られたようでした。現在は古研ぎでくもりとヒケの為に鑑賞向きではないですが研げば無傷無欠点の見違えるような刀になるとの事でしたが、できえるなら研がないほうが良いと言われました。貴重な福永製全身押型を下さいました。掛け軸に仕立て刀と共に大切に伝えて行きたいと思います。
     
鑑定2.忠広 (寒山鞘書) 出来は非常に良い、二代近江忠広代作の可能性ありという事です。忠吉は受領銘の忠広時代には、かなりが門人の代作代銘で出来の良いものには自分の銘を切る事を許したそうで、銘きり師の存在も確認されているそうです。(肥前刀大観にも同様の記述あり) 最上作とは言えないが上作のてっぺんにある出来映えで刃にもう少し働きがあれば最上作でも良いそうで(とは言え刃中の匂い、刃縁の沸、小足、葉、喰い違い、は見事)地鉄においては一点の破綻も無い傑作との事です。なかなか得難い程の物なので大切に、と言われました。しかし欠点も発覚しました!裏銘の寛永年期が消されていました。うっすらと寛永の字が判読でき年期部分も含めてその部分だけ錆が若いです。うーん粗見でした。幕末頃に消されたそうで、京物に化けさせようとしたのか?
鑑定3.忠輝書状 家康六男、忠輝は異端の問題児であった為遺品の多くは粗末に扱われ現存する書状は非常に少なく貴重な物で、紙質も当時の物に間違い無く祐筆独自の字のくずし方、達筆過ぎるほどの見事な筆跡で正真物だそうです。忠輝自筆は花押のみ。書状内容は村上周防守から長陽の節句に送られた中国の書画(石偏に間と言う漢字。現存品はすべて国宝)の礼状で某隼人を使いに立てているといった内容で、どうしてこのような高価な品を村上周防(村上義明)が忠輝に送ったのか歴史背景まで先生は既にご存知でその博学ぶりに感嘆しました。忠輝地元、上越市立総合博物館旧蔵品。
良い雰囲気の刀装具美術館

平成12年4月15日

刀剣展示即売会と大骨董祭に行って来ました。即売会では200振りぐらいありましたが、目にとまったのは直江志津刀、康光太刀、實行輝行合作刀ぐらいだけでした。實行輝行刀は豊後高田で評価の低い刀工ですが、骨董祭で拝見した實行と共に小杢詰んで出来よく真面目で好感の持てるものでした。骨董祭では例年より刀剣武具類の出店が多かったようです。しかしある刀をケースから出してもらい拝見した所ヒケがかなり入っていたので店主に指摘したところ柾の鍛えです、とおっしゃいました。この刀工に柾なんて無いですよ、と言った所慌てて訂正してましたが、、、やめてほしものですね人を見て言う事を変えるのは。大きい看板背負ってるんですから。全体的に見て刀剣専門店以外での刀剣価格はひどい物が多かったです。


刀剣博物館に新作刀展覧会を見学しに行きました。すべての作品が美しく感銘をうけました。多くの作品が網目状に細かい地景が働く地鉄に足太く長い丁子出来でよく似た作風が多い中次泰刀匠、行平刀匠、関の刀匠の方々の互の目には個性があり印象に残りました。そのあと福永先生のお宅にお伺いし貴重な時間を過ごさせていただきました。

清麿自筆書状 福永先生蔵品
井上真改筆跡 古今鍛冶備考より
美しい折り紙






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